北海道中国会

北海道と中国との文化交流、経済交流促進に努め、
北海道にいる華僑華人発展の支援及び北海道地域経済振興に寄与する
 
夏の会員交流会
北海道中国会の夏の会員交流会が12日、仲間の経営するレストラン「北豆印商店Cafe&Restaurant」(札幌市中央区北1条西3丁目3 敷島北一条ビルB1)で開催されました。12名の参加者が集まり、大いに盛り上がりました。

今回の交流会では、会員である吉田邦彦教授が話題提供を行いました。吉田教授は、元北海道大学大学院法学研究科教授であり、今年4月から中国の広東外語外貿大学法学院で雲山特別教授を務めています。卓話のテーマは「文化財返還の現状と課題〜特に東大・東洋文化研究所玄関前の石獅子について」でした。

北海道中国会運営委員長の陶恵栄院長が司会を務め、交流会の前に、吉田教授から40分間の講義が行われました。最初に「文化財返還」について触れ、吉田教授は、靖国神社の石獅子が日清戦争の戦利品として遼寧省海城の三学寺から略奪されたものであることを紹介しました。また、皇居・吹上御殿にある鴻臚井碑は日露戦争の戦利品であり、遼寧省旅順から略奪されたものだと説明しました。

東京大学東洋文化研究所の玄関前にある石獅子についても、北京の宮殿に飾られていたとの伝説があり、吉田教授は天安門や北京大学の西門にある石獅子を現地で視察。さらに、旅順博物館(旧関東都督府博物館)の玄関にも、同様の石獅子があり、これらが北京から移されたものとされていることを確認しました。調査の結果、東文研や北京大学西門、旅順博物館の石獅子はいずれも頤和園にあった満州貴族の石獅子が適宜移されたものであり、北京大学旧燕京大学の場合は取引の証拠がありますが、それ以外は「略奪」に近い形で譲渡された可能性があると主張しました。これに対する反証は日本側にあるべきだと、吉田教授は熱弁しました。

21世紀は博物館における脱植民地化や文化財返還の時代であり、アメリカの美術館・博物館の例からも、道義的に返還すべきだと吉田教授は主張しました。特に、東京大学や東文研が世界基準に従って所有権を見直し、良心的かつ道義的に解決する義務があると述べ、研究者としてその問題を提起しました。吉田教授は東文研の所長に対して、これまで幾度も任意の返還を打診してきましたが、2024年7月現在も返答は得られていません。

2024年6月には、中国青島でアジア文化遺産保護連携会議が開催され、23ヵ国150名の代表が参加しました。そこで文化財の返還と保護に関する「青島建議書(青島勧告)」が発表され、公平かつ科学的で、バランスの取れた持続可能な解決を目指していることが紹介されました。

講義の内容は、参加者にとって驚きの事実が多く、大変興味深いものでした。北海道中国会の田義之代表は、自己紹介に続いて、日中友好協会の方々や北海道中国会の会員と共に講義を聞き、非常に刺激を受けたと述べました。また、自身の中国との関係を語りながら、中国との友好関係の重要性を強調し、交流会は充実した内容となりました。
2024-09-13